ナース 母性保護

妊娠ナースに厳しい現実

労働基準法があるとはいっても、妊娠したナースの方が夜勤を断ることが出来ない病院もあるのが実情です。

 

看護師の労働条件を改善するため、今から40年以上も前に、新潟県である闘争が起こりました。
この当時、妊娠している看護師が夜勤に組み込まれ、異常分娩の末に、二人目を出産した後に亡くなってしまう、このような事が数多くおき、看護師の夜勤が問題になりました。

 

一ヶ月のうち、3分の1以上が夜勤、という実態があり、流産、そして死産の問題が多発していました。
人手不足によって、看護師が結婚をすることでさえ自由がなく、出産も制限されていました。

 

これに対する闘争が全国各地で起こり、夜勤は月に8回以内、とされました。
その後、夜勤は二人以上、そして月に8日以内、と言う労働協約が、新潟県職員労働組合、そして新潟県病院事業管理者との間で結ばれ、徐々に看護労働に対しての改善がされていきます。
1960年代に起きたこの出来事を、「ニッパチ」といい、その後は、幾度も看護師闘争が起こり、平成4年に、ようやく「看護師確保法」が施行され、夜勤は月8日以内の努力義務、と規定されます。

 

ですが、今現在、まるで時代が逆戻りをしているような状況になっています。

 

ニッパチ闘争について書かれている書籍の一節に、「看護婦だからと言って、母親になれないと言うことがあってもいいのでしょうか。計画出産を言い渡され、看護婦は結婚できないなどといわれるのは、なぜなのか。子供を安心して産むことが出来て、そして母親になっても働けるような条件、それが今の職場にはない」と記されています。

 

これと同じ状況が、現在の医療現場にはあります。
命を預かる場所であるはずが、今、看護の現場では職場の環境が母性の保護を破壊してしまう、「職場流産」ともいえる悲劇が起きていて、それは年を重ねるごとに増えているのです。

 

職場流産の実態

ある病院で働いている看護師の方は、20代のときに始めて妊娠をし、流産を経験しました。
365日、24時間何が起きても対応できるようにするため、病院では看護師の交代制勤務が行われています。
一日を3交代、または2交代で分けています。

 

この方の病院では、看護師の配置について、患者15人に対して看護師は一人となっていて、2交代が取られています。
また、夜勤については2人で患者を看ます。
糖尿病患者、気管切開を行った患者等をケアをし、彼女は結婚したことがきっかけでこの病院に転勤してきました。
日勤では申し送りが終わるとすぐにバイタルサイン、点滴などをして、寝たきりの患者の清拭、オムツの交換なども仕事です。
さらに、夜勤は17時間もの拘束、という長い時間をわずか二人の看護師で行うために、かなりの負担になります。

 

このような勤務状況の中、この看護師は子供を授かります。

 

この病院でも、同僚、看護師仲間に流産を経験した人が多く、彼女は妊娠5週目に、病院側に妊娠したことを告げて、夜勤免除、そして仕事の軽減を申し出ます。
すると、次の日「転勤したばかりなのに、お前、何をやっているんだ!産むんだったら子育てに専念したほうがいいんじゃないか」と事実上の退職を迫られます。
本来は、母性保護、と言う観点から、働いている女性は深夜の仕事の制限、そして業務軽減など、本人が申告をすれば免除されるように、労働基準法、そして男女雇用機会均等法により守られています。

 

ですが、人手不足が原因で、彼女の職場では夜勤や残業をなくすことは不可能でした。
仕方なく、夜勤をしながらすごしていると、一週間後、異変が起きます。

 

日勤が終わり、家に帰宅すると、子宮から出血がありました。産婦人科にあわてて出向いて診てもらったところ、切迫流産でした。
即入院して、点滴で止血剤が打たれます。
このときに心音が確認されていましたが、2日後、心拍停止が確認されます。

 

流産を経験し、命の重みを感じた彼女は、どうしても子どもがほしくなります。
ですが、「妊婦に冷たい職場では、続けてすぐには子どもを作ることは出来ない」と妊娠のチャンスを半年以上も待つしかありませんでした。

 

彼女の次の妊娠がわかった時、同じ時期に3人もの同僚の看護師で妊娠が重なり、夜勤の免除を申請しましたが、「正職員だから、夜勤が出来ない、なんて言わせない」と病院側に突き放されます。
周りの看護師は、妊娠を望んでいて、出産を無事にするために次々とやめていきます。

 

労働基準法すら守ることが出来ない職場で、多くの看護師が退職をし、そのために看護師が不足する、といった悪循環が生まれています。

 

看護職において、妊娠時状況の経年変化表

1988年

1997年

2005年

2009年

順調 31% 20% 20% 23%
つわりがひどい 33% 37% 38% 46%
切迫流産 24% 30% 31% 34%
流産 4% 6% - 11%
出血 11% 14% 19% 23%

 

 

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